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イベント報告
 ソフトウェアテストシンポジウム 2014 東海

2014年10月31日(金) 於 刈谷市総合文化センター アイリス

ソフトウェアテストシンポジウム 2014 東海
テストをわかりやすく共有する ~ 伝えるテスト、診るテスト ~

基調講演やワークショップで得た3つの学びをご紹介させていただきます。

基調講演
「テストの意図、共有できていますか?ドキュメントレビューの視点から」
森崎 修司 (名古屋大学)

(1)ドキュメントは後工程の人のもの

よくレビューで「○○が書いてない」「□□の説明がわからない」などと記述漏れを指摘され、「えっ、そんな常識的なことも書かないといけないの? そんなこと言ったらきりがないじゃん。その日の気分で指摘しないでよねっ!」と、心の中でつぶやくことがある。レビューアにとってもレビューイにとっても、不幸なことである。
これを防ぐ方法として、「ドキュメントを利用する 次工程の人の想定を合わせる」ことがよいということを学びました。この想定を合わせることで、記述レベルの基準がはっきりして、どこまで書かなければいかないかがはっきりする。そして
 レビューア:「△△さんがわかるようにこれを書いてもらえますか?」
 レビューイ:「△△さんがわからないんだったらしょうがないなぁ」
と思えるようになり、自分のミスを指摘されたというより、「次工程の人のために○○をやろう」というポジティブな気持ちにもなれる。
また、レビューアの基準でドキュメントのチェックを行うと、自分の常識や基準をプラスして読んでしまうため「あれ、常識として知っているものと思っていた」という指摘漏れが発生することがあるが、これも防ぐことができるようになる。

(2)指摘はレビューイが修正できるように具体的にする

レビューアが漠然とした心配事を指摘しても、指摘された方は困るだけ。成果物はレビューイが精一杯考えて持ってきたものである。なので、そこで「メモリリークは大丈夫か?」のようにどこを調べたらよいかわからない指摘は、お互いにとって不幸である。レビューアは、どういうときの、どこのメモリリークを経験的に心配しているのかを伝えるべきである。でないと、意味ない無駄なところをレビューイは調べてしまうことがある。もちろん、レビューイも自分が次に何をすべきかわかるまで聞く努力は必要である。

ワークショップ
「テスト技術を身につけて、実践するために」
堀田 文明 (デバッグ工学研究所)

(1)どのテスト技法でどんなバグが摘出できるか?

「製品は企業側のシーズで作ってはダメ。顧客のニーズに応えたものを作ること」と同様で、「俺は○○テスト技法を知っているから、これを使ってテストケースを考えればよい」というのではなく、「この製品(orこの現場)ではこういうバグで困っている人が多いから、あのテスト技法を使おう」という具合に、視点を変えて考えることが必要であることを学ぶことができた。

所感

東海名物(?)矢野さんのユニークな司会により、「暖かく和んだ」まるで「ただいま~」と家に帰ってきたら、ご飯の炊けたにおいがするような雰囲気でシンポジウムはスタートしました。
最初の森崎先生の基調講演は、手を挙げて回答するまたは質問をすると「さくさく日記(名古屋で有名なえびせん)」か「名大あめ」がもらえるという全員参加の議論型で行われ、質問の手も勢いよく挙がり一体感のある講演で楽しむことができました。
次に堀田さんのワークショップは、非常に話のスピードが早く、落ちこぼれてしまいました。しかし「知らないってことは、俺の伸びしろ? 楽しいことはまだまだたくさんあるぞ」と、何か元気をいただくことができました。
最後に情報交換会は、ワールドカフェ方式で講演者やワークショップのオーナーの方々と、お菓子をつまみながら好きな話ができる偏愛時間を過ごすことができ、充実した一日を過ごすことができました。
終始和やかな雰囲気でのJaSST'14 Tokai。来年もまた参加したいと思います。

記:良知 敦(TEF東海)

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